自然の中に自然の状態で温泉が湧出している状態を言う。昔の温泉は、その大半が野湯であった。明治期になって掘湯の技術が進み、明治中期以降は上総掘りによる人工掘削技術が進展した。現在でも野湯の雰囲気を残している温泉は、和歌山県の川湯温泉で、河原を掘れば温泉浴が楽しめる。山梨県甲府市の湯村温泉には、昭和初期まで野湯鉱泉が存在した。付近の人工掘削で枯渇したが、農民が農作業の疲れを癒す際に入湯し、馬を洗う馬の湯もあった。しかし、今日では、イメージ的には、宿泊施設や日帰り温泉の人工的な露天風呂ではなく、自然環境や景観を活かした露天風呂となる。本来ならば、自然のままの状態の露天風呂を指すが、別府八湯の1つである明礬温泉の3大秘湯としての鍋山の湯、へびん湯、鶴の湯は、人工的に作られた野天風呂である。温泉は自然湧出で、景観は自然の状態を保持している。
写真は、明礬温泉のへびん湯。
●野風呂(のぶろ)
野天風呂と同じ。
●野湯(のゆ)
野天風呂と同じ。